後発ながら他社に先駆けて生産設備の自動化を進めた松浦産業。本格参入から4年で、紙袋、ビール缶用手提げ袋などに、幅広く使われるポリエチレン製の取っ手のトップメーカーになった。
松浦公之社長は「市場性が高いと判断すれば、年商1億円の商品に5000万円の設備投資も断行する」と言い切る。
機械化以外にも、金型からはがれやすい、高圧ポリエチレンを使用するなど、原料も工夫。1時間あたりの生産量は他社の3倍に達し、1本4円の市場に、3円60銭の価格での出荷が可能だ。納期も短縮され、注文が殺到した。
現在、取得している特許や実用新案などの工業所有権のうち、ポピュラーなのは、ビール缶用手提げ袋の代替品として開発した「カンタッパー」(1パック6本)。ポリプロピレンを原料に、平板に6つの凹穴を成型し、缶の上部をカチッとはめ込むだけで、缶は固定される。
この夏には、ポリプロピレン製の取っ手をたすき掛けにした「タックハンドルX型」をキリンビールと共同開発した。従来品に比べ、段ボールケースに貼り付ける際に位置がずれにくく、来夏以降、他のビールメーカーにも納入する。 ディスカウント店などで段ボールケース売りが増えていることから「需要は大きい」(松浦社長)とみる。今後も顧客ニーズに対応した商品の開発で、高収益体質を目指す。